交通事故と逸失利益の請求について

逸失利益って

交通事故の被害にあった場合、被害者の方は加害者に対して損害の賠償を請求ができますが、今日はとりわけ「逸失利益」と呼ばれる損害についてご説明します。

「逸失利益」とは、簡単に言うと、交通事故がなければ本来得られるはずであった利益のことです。また、このような失われた利益を、広く「消極損害」とも呼びます。

このような広義の定義からは、例えば、「交通事故に遭ったせいで遅刻をし、予定されていた取引が破談になってしまった損害」なども、交通事故との相当因果関係が認められれば逸失利益に該当する可能性があります。
とはいえ、交通事故で主に問題になる逸失利益は「死亡による逸失利益」「後遺障害による逸失利益」のつですので、今日はそのつについてご説明します。

なお、通院で仕事を休んだことによる減収を休業損害といい、これも広義の逸失利益に含まれますが、今回は割愛します。

死亡による逸失利益とは

現在働いている人、あるいは将来働く可能性がある人は、本来であれば就労可能な年齢まで働き、収入を得られたはずです。
そのような人が交通事故で不幸にも亡くなってしまった場合、得られるはずだった収入は、いわゆる死亡による逸失利益として加害者にその賠償を請求できます。

実際にどのように計算するの

死亡による逸失利益の計算は、「年収万円であと年働くから、死亡による逸失利益は万円×年で億万円」というように単純ではありません。

死亡した人が生きていれば、当然に生活費がかかります。ですから、逸失利益の計算では、就労期間中に得られたはずの収入から、その期間中にかかったであろう生活費を差し引く必要があるのです。この生活費の控除は、死亡した人の属性により生活費控除率がある程度類型化されています。

また、将来得られるはずだった収入を一括して加害者から賠償を受けるということは本来よりも早い時期に収入を得ることになるので、実際の収入予想と同じ額を被害者に賠償してしまうと、将来にわたって発生する利息分運用益をも被害者に与えてしまうことになります。

そこで、ライプニッツ係数と呼ばれる係数を最後に掛けることにより、将来の利息分運用益を調整する必要があります。

これらの点を考慮すると、死亡による逸失利益を算定する式は、「基礎収入×生活費控除率×就労可能年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数」となります。

基礎収入は実際の収入を基本としつつ、就労前の人の場合などは賃金センサスという統計を利用し、また、家事労働者の場合は男女問わず女性全年齢学歴計の賃金センサスを利用することが多いとされています基礎収入の計算については弊所コラム「交通事故と休業損害についてお話します」もご覧下さい。

後遺障害による逸失利益

怪我のせいで収入が減ることもありますが、この減収のうち、症状固定後に後遺障害が残った場合の収入減少のことを、交通事故実務上、「後遺障害による逸失利益」と呼びます症状固定については、弊所コラム記事「裁判などでよく使われる症状固定とは」をご覧下さい。

計算方法は死亡による逸失利益と似ていて、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数」で計算できます。

労働能力喪失率は、自賠法施行令での別表いわゆる「後遺障害等級」に定める障害のいずれに該当するかを参考にして、被害者の職業・年齢・性別・後遺障害の部位や程度・事故前後の稼働状況等を考慮して決められます。

ただし、個別事情による調整はそれなりに大きいので注意が必要です。

また、労働能力喪失期間については、後遺障害が「一生残る障害」と考えられている以上、症状固定日から就労可能年齢までの期間になるのが原則ですが、後遺障害の内容、程度等により、一定期間に制限されることがあります。

例えば、いわゆるむち打ち症で後遺障害等級が級最も低い等級である場合、労働能力喪失期間は年程度に抑えられることが多いとされています。

おわりに

逸失利益の算定には、専門的な知識が必要です。加害者や保険会社から提示された逸失利益の金額に納得がいかないと感じた方は、一人で悩まず、是非、弁護士法人琥珀法律事務所までご相談下さい。経験豊富な弁護士が、適切な見通しをご説明します。まずはお気軽にお問い合わせ下さい。


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