車両の評価損を請求できる?

そもそも評価損とは何か

交通事故に遭ってしまい,運転していた車両が傷ついてしまったとき,「車両の価値が低下してしまったのではないか?」とお考えになる方もいらっしゃると思います。
今回は,このような疑問についてお話ししたいと思います。

交通事故によって車両が損傷してしまった場合,修理をしても機能や外観に欠陥が残ってしまったり,たとえ完璧に修理できたとしても事故歴があることにより中古車としての査定価格が低下してしまったりすることがあります。
このような場合,交通事故当時の車両の価値と修理後の車両の価値との間に差が生じることになってしまいますが,この差のことを評価損といい,上記の前者の例を「技術上の評価損」,後者の例を「取引上の評価損」と呼んでいます。
この評価損も,交通事故における物的損害として,損害賠償の対象になりうるものです。

どのような場合に評価損が認められるのか

車両が損傷してしまった場合,常に評価損が認められるのかというと,そうではありません。
過去の裁判例を見てみますと,評価損を認めたものも数多くありますが,一方で評価損を認めなかったものも相当数あります。このように,評価損というものは,車両が損傷すれば必ず認められるものではないのです。
では,評価損が認められるかどうかは,どのように判断されるのでしょうか。
一般に,評価損が認められるかどうかは,車種,初度登録からの経過年数,走行距離,交通事故による損傷の部位及び程度,修理の内容などの具体的事情を考慮して判断されています。たとえば,高級外車や人気国産車である場合,新車で購入してから間もない場合,走行距離が少ない場合,損傷の部位が走行性能に重大な影響を与える部位である場合などは,評価損が認められやすいといえるでしょう。
一方,初度登録から5年以上が経過してしまっている場合,走行距離が5万キロ以上である場合,損傷の程度が小さい場合などは,評価損が認められにくいと考えられます。

評価損の具体的な額はどのように決められるのか

評価損が認められる場合,その具体的な額をどのように決めるのかが問題になりますが,過去の裁判例を見渡してみると,その決定方法は様々です。
具体的には,①事故前の車両の価格から修理後の車両の価格を控除する方法,②事故前の車両の価格の○パーセントとする方法,③修理費の○パーセントとする方法などがありますが,③の決定方法による裁判例が比較的多いといえます
(筆者も,③の方法により算出された評価損を認める判決を得たことがあります。)。
このように,評価損の具体的な額の決定方法は裁判例上も明確に定まっているわけではないので,評価損を請求する際には,最も高い額が算出される方法によって具体的な評価損の金額を決定していけばよいものと考えられます。
ちなみに,財団法人日本自動車査定協会(JAAI)という機関に依頼すれば,交通事故により車両の価値がどの程度減少したかを査定し,「事故減価額証明書」という書面を発行してくれます。
この書面を裁判において証拠として提出すれば評価損の具体的な額を認定するための一資料になりますが,実際にはその査定の基準が明確でないなどの理由から,「事故減価額証明書」の額より低めの評価損を認定する裁判例が多いのが現状です。

おわりに

これまでお話ししてきましたとおり,評価損は交通事故の物的損害として損害賠償の対象になるものです。
しかし,車両が損傷すれば必ず認められるというものではなく,裁判例上も評価損を肯定するものも否定するものもあり,また,評価損の具体的な額の算定方法も一定していません。
そのため,保険会社の担当者は,なかなか評価損を認めようとはしない傾向にありますから,ご自身で保険会社の担当者と交渉をしても,なかなか評価損の損害賠償を受けることはできません。
そこで,修理費や代車費用のほかに,評価損の請求も検討されている方は,是非,弁護士法人琥珀法律事務所までご相談下さい。


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