離婚原因とは?

はじめに

日本では、年間20万件以上の離婚があります。このうち、約99%が夫婦の合意に基づく離婚であるとされていますが、残り約1%は裁判所の判決による離婚(「裁判離婚」といいます。)であるとされています。
裁判離婚においては、裁判所が判決で離婚することを命じることになりますが、それには一定の事実が存在する必要があります。
では、どのような事実が存在する場合に、裁判所は判決で離婚することを命じることができるのでしょうか。今回は、この疑問についてお話しします。

5つの離婚原因

裁判所が判決で離婚することを命じるためには、民法770条1項各号に定められたいずれかの事実が存在する必要があります。この事実のことを「離婚原因」といいます。具体的には、①配偶者に不貞な行為があったとき(1号)、②配偶者から悪意で遺棄されたとき(2号)、③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき(3号)、④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(4号)、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき(5号)の5つの離婚原因が定められています。
以下では、それぞれの離婚原因について簡単に見ていくことにしましょう。

不貞行為(1号)

相手方配偶者が、自分の意思で配偶者以外の者と性的な関係を持った場合です。このような行為は、夫婦間の貞操義務に違反するものとして、離婚原因とされています。
なお、相手方配偶者が不貞行為をした場合、配偶者は、相手方配偶者と不貞行為の相手方に対して慰謝料を請求することができる場合があります。不貞行為は、配偶者の婚姻共同生活の平和を維持するという権利・利益を侵害するものとして、不法な行為とされているからです。

悪意の遺棄(2号)

悪意の遺棄とは、正当な理由がないのに、夫婦の同居協力扶助義務に違反する行為をいいます。たとえば、配偶者を捨てて家出することや、一方的に配偶者を家から追い出すことです。ただ、同居や扶助を拒否することに正当な理由がある場合は、悪意の遺棄にはならないとされています。

3年以上の生死不明(3号)

相手方配偶者の生存も死亡も証明できないような状態が3年以上継続している場合は、離婚原因になるとされています。これは、生存していることが3年以上も確認できないような者との夫婦関係は破綻しているとみるべきと考えられているからです。ただ、相手方配偶者の所在が不明でも、生存していることが確実である場合は3号にはあたらず、②悪意の遺棄(2号)または⑤婚姻を継続し難い重大な事由(5号)にあたるかが別途問題になります。

回復の見込みのない強度の精神病(4号)

相手方配偶者が強度で回復しがたい精神病にかかったときは、夫婦としての精神的交流が失われ夫婦関係が破綻したものとして、離婚原因になるとされています。
ただ、裁判例では、強度で回復しがたい精神病にかかったという一事をもって離婚を認めるという姿勢はとっておらず、相手方配偶者の看護態勢が整っているか、国の費用負担による入院治療が可能であるか等の具体的事情を考慮して判断しているものと考えられます。

婚姻を継続し難い重大な事由(5号)

1号から4号のほか、夫婦関係を継続していくことができないほどの重大な事由がある場合は、離婚原因として認められることがあります。この5号はとても抽象的な規定ですので、どのような事由があれば離婚原因として認められるのか、過去の裁判例を見てみましょう。
過去の裁判例で5号にあたるとされた事由には、暴行・虐待(いわゆるDV)、同居することが耐え難いような重大な侮辱、浪費癖・勤労意欲の欠如など夫婦の協力扶助義務に著しく反するような行為、正当な理由のない性行為の拒否・異常な性行為の強要など性生活の不一致、人生観や生活感覚の不一致・愛情の喪失など精神的な事由、他方配偶者の親族との不仲などがあります。これらの事由の存在に加えて、別居期間が2~3年程度あると、5号にあたると判断されやすい傾向にあるといわれています。
なお、1号から4号の各事由にあたるほどではない事情でも、5号の事由にはあたると判断されることもあります。

おわりに

以上のような離婚原因の存在が認められれば、裁判所は離婚することを命じる判決を言い渡すことができます。ただ、1号から4号までの事由がある場合でも、裁判所は、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは離婚の請求を認めないこともできるとされています(民法770条2項)。
離婚問題は夫婦の感情的な対立が激しいものですので、ご自身で対応することには大きな精神的ストレスを伴いますし、専門的な知識も必要となります。そこで、離婚問題でお悩みの方は、是非、弁護士法人琥珀法律事務所までご相談下さい。


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