試用期間中だと自由に解雇できる?

社会人としてデビューしたとき、転職したとき、アルバイトとして採用されたときなど、「最初の数ヶ月間は、試用期間である。」と会社から、告げられたことはありませんか?この「試用期間」とは、法的にはどのような期間であり、通常の雇用期間とどのような違いがあるのか?自由に解雇されるのか?働いている人なら一度は疑問に感じたことがあるのではないでしょうか。

試用期間

試用期間とは、態度、能力、スキルなどを見て、本採用するかどうかを決定するために設けられている期間です。「試用期間」という言葉からすると、あたかもまだ仮の段階で、本採用するかどうかは会社側の広い裁量で決められそうな気がするかもしれません。しかし、一般的には、試用期間であっても、最初から期間の定めのない通常の雇用契約が成立しており、採用時には十分に判断しづらい労働者の適格性を判断するために解約権が会社に留保されているのだと考えられています(「留保解約権付雇用契約」などと定義されます。)。また、この試用期間を設けることは法的に義務付けられているものでもありません。
試用期間の長さについては、1~6ヶ月と設定されていることが一般的であり、試用期間という言葉を用いていなくても、試用期間と評価される場合があります。なお、試用期間を設ける場合は、就業規則、労働契約書に明記されていなくてはならないので、きちんと確認することをおすすめします。

本採用拒否

では、試用期間満了時に試用期間であることを理由に簡単に解雇(本採用拒否)することが許されるのでしょうか。試用期間だからといって、簡単に解雇が許されるものではありません。通常の雇用期間であることには変わりがないため、解雇が正当であるといえるだけの理由(経歴詐称や著しい勤務態度不良等)がなければ解雇されないのです。裁判例上、「会社が採用決定後における調査の結果により、または使用中の勤務状態等により、当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実を知るに至った場合において、そのような事実に照らしその者を引き続き当該企業に雇用しておくのが適当でないと判断することが、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に相当であると認められる場合」にのみ、解雇が許されるとされています。
もっとも、裁判例から考えてみますと、通常の解雇の場合に比べると、客観的・合理的理由や社会通念上の相当性の有無について、緩やかに判断される傾向にあります。しかし、あくまでも解約権が留保された趣旨・目的に照らした合理性、相当性が要求されるため、具体的な理由なく、解雇が許されるものではない点に注意しましょう。

また、解雇通知に関しても、通常の解雇と同様で30日前に予告するか、予告の代わりに30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うかのいずれかが義務付けられています(ただし、試用期間の開始から14日以内は、これらが必要ではないという特例が認められています(労働基準法21条4号))。

試用期間の途中での解雇

試用期間は、あくまで通常の雇用契約であり、簡単に解雇が認められるものではないことは、上にのべたとおりですが、試用期間満了前に解雇を行う場合とで違いが生じるものでしょうか。
この点について裁判例は、「試用期間の経過を待たずして行われた解雇には、より一層高度の合理性と相当性が求められる」と述べ、さらに、「合意された試用期間が満了する前に適格性を有しないと判断して解雇をすることは、試用期間を定めた合意に反して会社の側で試用期間を従業員の同意なく短縮するに等しい」と判示しています(平成21年9月15日東京高裁判決)。
つまり、試用期間が会社と従業員間の合意で設定されたものであり、設定された期間の雇用を守ることが大原則であると裁判例は述べているのであって、試用期間満了時に比べ、より解雇が正当化されづらいものであることがわかります。

まとめ
このように、試用期間も、通常の雇用期間であって、簡単に解雇が許されるものではありません。通常の解雇だけでなく、試用期間中に解雇された場合にも、「復職したい」「解雇を争い、その間の賃金を請求したい」と思ったらぜひ琥珀法律事務所までお気軽にご相談ください。

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