どんな事件が裁判員裁判になるの?

第1 裁判員裁判とは

裁判員裁判とは、抽選で選ばれた一般市民が「裁判員」となって、裁判官と一緒に被告人が有罪であるか否か、どれくらいの刑を科すべきかを決める制度です。

第2 どんな事件が裁判員裁判になるのか

裁判員裁判の対象事件は、一定の重大な犯罪であり、条文上、「死刑又は無期の懲役・禁固にあたる事件」もしくは「法定合議事件のうち故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた事件」いずれのどちらかの場合、裁判員裁判対象事件となります。(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項)
代表的な例をあげると以下のものになります。

(1) 人を殺した場合(殺人)
(2) 強盗が人にけがをさせ、あるいは、死亡させた場合(強盗致死傷)
(3) 人にけがをさせ、その結果、死亡させた場合(傷害致死)
(4) ひどく酒に酔った状態で自動車を運転して人をひき、死亡させた場合(危険運転致死)
(5) 人が住んでいる家に放火した場合(現住建造物等放火)
(6) 身の代金を取る目的で、人を誘拐した場合(身の代金目的誘拐)
(7) 子どもに食事を与えず、放置して、死亡させた場合(保護責任者遺棄致死)
(8) 財産上の利益を得る目的で覚せい剤を密輸入した場合(覚せい剤取締法違反)
(9) 女性をレイプ(強姦)する際に、女性にけがをさせた場合(強姦致傷)

なお、裁判員候補者等の生命身体財産に危害が加えられるおそれがあり、裁判員の確保が困難なときには、対象事件であっても通常の裁判官の合議体による裁判をすることが出来ます。(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律3条1項)。

裁判員に対する危害や脅迫的な働きかけのおそれが考えられるような組織的犯罪(例えば、暴力団が組織的に関与した事件等)やテロ事件などが例として想定されています。

第3 裁判員制度導入の目的

これまでの刑事裁判では、どんな事件も、すべて裁判官が判断してきました。しかし、過去の重大事件の裁判においては、裁判官が、犯人でない人を犯人だと判断し、後に無実であることが明らかになったことが少なからずありました。

裁判員裁判は、重大事件の裁判に一般国民の皆さんが加わり、裁判官とあわせて9人で慎重な判断をしようとする仕組みです。
裁判員を担う一般国民の皆さんが、裁判官が持っていない視点や、一般常識的な視点を提供することで、より適切で妥当な判断をすることができると期待されています。
なお、現在は重大事件に限って裁判員裁判を行うこととされていますが、今後その範囲が拡大されることもありえます。

第4 裁判員制度の特徴

従前の裁判官による裁判は、法律の専門家である裁判官が、細切れに進行する公判を経て、法廷ではなく裁判官室で、膨大な記録を読んで、事実を認定するというものでした。
これに対し、裁判員裁判は、法律の専門家ではない裁判員が、集中的に行われる公判の中で、法廷において、主に口頭で提供される証拠により、事実を認定します。また、裁判員裁判は法律の専門家ではない一般国民の方々が関与するため、裁判を出来るだけ分かりやすく、効率的に進めるために、争点や証拠を整理する必要が高いです。そのため、従前の裁判官による裁判とは異なり、最初の公判期日の前に、裁判所、検察官、弁護人が、争点を明確にした上、これを判断するための証拠を厳選し、審理計画を立てることを目的とする手続である公判前整理手続を行います。
 公判前整理手続は、だいたい1ヶ月に1回くらいのペースで開催されますが、複雑な事件になると、公判前整理手続期日が何度も設けられ、最初の公判期日までに1年以上かかることもあります。
 

第5 裁判員の選任手続き

裁判員は各地の選挙人名簿を基準に抽選で選ばれます。したがって、原則として20歳以上の日本国民で選挙人名簿に登載されている人は誰しもが裁判員に選ばれる可能性があります。
但し、裁判員候補者に選ばれた場合でも、裁判員になることを辞退できる場合があります。例えば、
・70歳以上の人
・学生
・重い疾病や傷害により裁判所に行くことが困難である場合
・同居の親族を介護・養育する必要がある事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある場合
等です。

第6 裁判員の役割

裁判員の役割は、法廷で証人の話を聞いたり、証拠物を見たりして、起訴状に書かれていることが常識に照らして間違いないと言えるかどうかを判断することです。その際、裁判員自らが証人や被告人に対して質問をすることもできます。その上で、起訴状に書かれていることが常識に照らして間違いないと言える場合(有罪の場合)、被告人にどのような重さの刑を科すべきかについても判断することとなります。

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